744人が本棚に入れています
本棚に追加
フィースローは、猫なりにため息をつくと、その姿を変化させた。
濃い霧のような魔の力に溶けたかと思うと、それが大きく縦に伸び、次に姿がはっきりした時には、別人がそこにいた。
長髪で、無造作に刈られてはいるが美しい黒色の髪に、変わらない鋭い緑金色の眼をした、美麗な人間型の青年の姿をしていた。
片膝をつき、黒いローブを無造作に身体に巻き付け、赤子をヒョイッと片手で持ち上げる。
「仕方がないな。育ててみるか」
闇のように低い声は少し優しく、まだ首の座ってない赤子を慣れない手つきで支えた。
最初のコメントを投稿しよう!