フィースローとの出会い

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フィースローは、猫なりにため息をつくと、その姿を変化させた。 濃い霧のような魔の力に溶けたかと思うと、それが大きく縦に伸び、次に姿がはっきりした時には、別人がそこにいた。 長髪で、無造作に刈られてはいるが美しい黒色の髪に、変わらない鋭い緑金色の眼をした、美麗な人間型の青年の姿をしていた。 片膝をつき、黒いローブを無造作に身体に巻き付け、赤子をヒョイッと片手で持ち上げる。 「仕方がないな。育ててみるか」 闇のように低い声は少し優しく、まだ首の座ってない赤子を慣れない手つきで支えた。
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