序章

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最期に残ったのは、目玉の大群に浮かぶ、迷い子の虚ろな目玉だけだった。 少年は、それを興味なさそうに見下ろす。 「君みたいな子供、餌に最適なんだよね。もしかして、君も贄にされたの?」 物言わぬ目玉を見つめて、少年は、クスッと笑った。 「そんなになっちゃったら、聞こえないし、話せないか」 つまらないとばかりにシッシと手を振ると、一瞬にして目玉の大群は消え、静けさが戻った。
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