Non title

2/2
前へ
/26ページ
次へ
ぽつりと零れた言葉 当てもなく風に散っていく 如何して戻せなかったのだろう 如何して戻さなかったのだろう あの時間 あの言葉 理由(わけ)もなく 零れた涙を 止める術を 僕は持たなかった 夕間暮れの空に白いものが一つ 風に運ばれ僕の肩にとまった 綿毛は一息ついた後 僕に頬擦りして去っていった やがて星が輝きだした空は 君の瞳を思い出させた 乾いた僕の人生で 唯一の潤いで 救いだった君 「此れで良かったのだ」と 無理矢理に考えるのをやめて 満天の星空から目を逸らした 今頃君は…… 今頃君は……………… もし此の頬伝う雫が宝石の欠片だったならば 集めたら本物の金剛石(ダイヤモンド)になるのならば 僕は幾らでも泣いて 此の世のあらゆるものを君に捧げるのに 君を取り戻すためなら 何だって出来るのに あの空の上にいるのだろうか 神様は 意地悪だ 想うだけでは叶わないことが 此の世界には 多過ぎる 別れ際に見た 傷付いた君の 綺麗過ぎる 哀しげな笑みが 瞳に 脳に 焼き付いて 離れない ……離れないんだ 僕が君を 守れるだけの 支えられるだけの 様々な力を持っていたなら 強さや自信を持っていたなら…… 戯言は風に舞い 戯事は誰に知られることもなく流される そんな僕の繰言綴り 宙(そら)に消えて 生まれた意味もなく 崩れ去っていく ……だから。 こんな詩(うた)には適当で 曖昧な題名(タイトル)を与えよう あるのかないのか 良く分からない 僕の愛する中途半端さで 「Non title(無題)」    
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加