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涙が溢れ出る。
いつも悲しい時、苦しい時…淋しい時には側に居てくれた吭。
温かい指で涙を拭って…抱きしめてくれたこの腕も…今は冷たくて……。
楓:吭……どうして死んじゃったの?…ねぇ…吭…いつもみたいに笑ってよぉ……ねぇ……私の名前呼んでよ…楓って…呼んで…。(吭の手を握り、自分の頬に当てながら涙を流す)
でも吭の手は動かない。
起き上がって…名前を呼んだり、微笑みかけることはなかった。
父さんや母さんが吭のことは辛いけど、亡くなってしまった者は帰って来ないって…現実を受け入れなさいって……私に言う。
――吭の居ない現実――
――そんなもの受け入れ
られる訳がない――
吭には…私には…お互いが必要な存在なんだよ?
いつも側に居て、いつも一緒に………。
―嗚呼…そっか…―
楓:吭、私がそっちに逝けば吭に逢えるんだね?また一緒に笑ってくれる?
そう思って私は無意識に鞄に入っているカッターナイフを取り出す。
カチカチカチ
自分の手首を切り、流れ出る真っ赤な血を見ていた。何故かとても安心している自分がいる。
~Next~
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