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私の名前は葛城 雫(かつらぎ しずく)、十五歳。
四月から高校になるんだけど…
楽しみなことなんてなんにもなかった…
だって…二年生になる前に死んじゃうんだから…
でもね…
希望が持てたんだ…
高校生活に…
中学から好きだった丸山 悠(まるやま ゆう)君と同じ高校だから。
あっ、付き合いたいとかは思ってないよ…
だって死ぬのが今より怖くなっちゃうもん。
ただ、近くで一緒にいるだけでいいんだ…
…そう思ってた。
悠君に告白されるまでは…
卒業式のあとにね、悠君に呼び出されたんだ…
「え~と…なに?丸山君」
「葛城…あのさ、俺達高校一緒だよな…?」
「うん、そうだけど…あっ高校でもよろしくってこと…?」
「…あ~!悪い、率直に言うわ…俺葛城のことが好きなんだ、俺と付き合ってくれないか?」
「えっ…?」
…すごくうれしい…
だけど、なんでだろう…
私、今すごい困った顔してる。
ううん、決まってる…
あと一年しか生きられないんだから…
悠君を悲しませるし、私だって…未練がすごい残ると思う…
「…あっ…ごめんな…困らせるつもりはなかったんだけど…」
「違うの…私も…丸山君のこと…好き…なんだけど…」
「えっ?…だけど…何?」
「…ううん…私も丸山君のこと好きだから…よろしくね」
言えなかった…
肺ガンにかかってるって…
悠君は私があと一年しか生きられないって知らないのに…
「…本当に…?ありがとう!…ねぇ、雫って呼んでいい…?」
「うん、じゃあ私も悠君て呼ぶね」
「…う~ん…俺、君づけで呼ばれるの苦手なんだよね…呼び捨てにしてくれないかな?」
「…うん…ゆ…悠?」
「ありがとう!」
そんな笑顔で笑わないで…
あなたを騙してるみたいで心が苦しいから…
こうして私と悠は付き合い始めたんだ。
高校入ってもすごく楽しかった…
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