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あの頃よりも美しく変わった秋吉が、正直羨ましかった。
しばらく考え事をしているうちに、20分たったらしい。
着替えも済ませた秋吉が、僕の背中をポンとたたいた。
「ごめんね、待たせて。」
僕たちは、少し歩いてコーヒーのおいしい店に移動した。
二人ともアメリカンコーヒーを注文した。
しばらく沈黙が流れた。
「…桜井くんは学生?社会人?」
「…いちおう…社会人。」
秋吉は小さく笑った。
「いちおう?今日は休みなんだ?」
「…うん。」
(やば。僕何も会話できてない。何か話さなきゃ…。)
「秋吉は?バイト?」
「うん。10時から3時まで。先週から始めたばっかだよ。あ、いい?」
秋吉は煙草を取り出して聞いた。
「あ、どうぞ。」
慣れた手つきで煙草をくわえ、ライターで火をつける彼女を僕は見つめた。
僕の中での秋吉美月は、中学の制服姿でいつも楽しそうに笑うイメージだった。
もちろん煙草をくわえた印象は全くない。
でも似合ってた。
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