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秋吉が煙草を一本吸い終わると、コーヒーが運ばれてきた。
僕はそれにクリームを一つ、スティックシュガーを半分入れてかきまぜた。
秋吉は、何も入れずに息を吹きかけながらそのまま口に運んだ。
「誰かと連絡とってる?」カップを皿に置きながら秋吉は僕を見た。
僕は首を横に振った。
「彼女はいるの?」
僕はもう一度首を横に振った。
「そう…。」
秋吉は煙草をもう一本取り出して火をつけた。
(聞いてもいいのかな。)
秋吉が最後にした質問を、僕は聞き返そうか迷った。
別に普通に聞けばいい。
変に意識するから聞きづらくなるんだ。
そうはいっても、ろくに会話もしてないのに聞いたら不自然ではないだろうか。
結局、秋吉が二本目の煙草を吸い終わる頃になってから、ようやくきりだした。
「秋吉は?」
「えっ?何が?」
「いや、だからその、…彼氏とか…?」
タイミングのずれた質問に笑いながらも、秋吉は明るく
「いないよー。」
と言った。
どこか心の中でほっとした僕がいた。
しばらく沈黙が流れ、3分の1くらいコーヒーを飲んだあと、秋吉が不意に口を開いた。
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