彼女の人生、僕の決意

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秋吉のアパートは、意外にも僕の住むアパートから電車で二駅のところにあった。 僕たちは夕飯を食べ終え、麦茶を飲みながら話をしていた。 「バイト、大変?」 「んー、忙しいのは平気なんだけど。知り合いがやってる居酒屋でバイトしないかって誘われてるんだ。確かに今のバイトだと生活が大変だし。今より時給は倍にしてくれるんだって。知り合いも困ってるみたいだから、行ってみようかなって思ってるんだ。」 秋吉は麦茶を一口飲んで、小さく溜め息をついた。 「やっぱり実家に頭下げて、夜だけ陽人を預かってもらうしかないかな。」 秋吉の実家までは電車で30分くらいらしい。 時間的にもかなり大変だ。 「ま、でも何とかなるよ。お父さんだって、わかってくれると思うんだ!」 健気に明るく振る舞う様子が、僕には痛々しく見えた。 その後、30分くらい話をして 「そろそろ…」 と僕は立ち上がった。 「もう帰っちゃうの?もっと遊ぼう!」 陽人が言った。 父親がいない陽人にとって、僕の存在は新鮮だったんだろう。 目に涙を浮かべて引き止めた。 「陽人。お兄ちゃん、また遊びにくるから、今度ねって。」 秋吉が慌てて言った。 陽人は納得していないようだった。 「いつ?すぐくる?」たとえ子どもとはいえ、今まで僕がこんなに必要とされたことがあっただろうか。 僕の中で、何かが動き始めていた。 「秋吉。夜の仕事の間、僕が陽人を預かるよ。僕のアパートに連れて帰るよ。ここから近いし。」
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