冴えない僕と夢と妄想

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髪を茶髪にしてみた。 メンズ雑誌を読み、服を一式真似てみた。 煙草を吸ってみた。 必死で親を説得し、一人暮らしを始めてみた。 高校の同窓会で、 『アイツって、あんなにイイ感じだったっけ?』 なんて言われることを想像した。 『超かっこ良くなってない?』 なんて女子に騒がれることを想像した。 少し楽しくなった。 でも… いくら身につけるものを変えても、僕は僕だった。 自分が嫌いな僕でしかなかった。 結局変えられなかった内面が、違和感となって外見に現れた。 どこか虚しさを覚え、変わることをやめた。 そして僕は気を張らず、楽に生きることを選んだ。 仕事や他人に束縛されるわけでなく、バイトで生活をつないだ。
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