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「あ…れ…?外?」
突然外に出られたことに俺は驚いた。
だけど、俺の前には相変わらずこの氷月と言う変な男がいた。
「望み通りに外の世界に出してやったぞ?ほら、この巨木こそが氷樹だ」
そう言いながら氷月はが俺の背後を指差した。
振り向いてみると、俺のすぐ真後ろに来た時にはなかった巨大な一本の木が立っていた。
その木はなんと言うか…他の木とは明らかに違っていた、木全体が淡い光りを放っていたのだ、幹や葉は不思議な色合いで輝き、木全体が一つの宝石や水晶のようだった。
「なんだよ…これ…こんなでっかい木なんて…来た時になかったぞ…?」
俺は呟きながらあぁ、あの影はこの木の影だったのか…と不思議な位に理解できた。
「それは帝にまだ資格がなかったからであろう」
俺が混乱してる中で氷月は淡々と言い退けた。
「資格?なんだよそれ?さっきお前が言った主になる資格のことか?」
「そうだ、今の帝は私の主だ、だからこの氷樹が見えるのだろう」
そう淡々と説明する声が、すぅっと俺の中に染み込んで行くのがわかった。
ようするに…
もう後戻り出来ないと言うことだ。
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