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「な、なんだよこれ…影…か?でもなんにもねぇ所に影…?」
この晴天の空にはこんなに巨大な影が出来る理由なんてどこにも見当たらなかった。
「……ねぇ」
「え?」
突然背後から声がして俺は驚いて振り返った。
振り返って見た先には見知らぬ小さな男の子が立っていた。
「氷樹の下でなにしてるの?」
「ヒョウジュ?」
「うん、お兄ちゃんは見えてるからここに来たんじゃないの?」
その男の子は俺の背後を指差しながらそう言った。
「お兄ちゃん、見えないのになんでここに来れたの?」
「なんで…って言われてもなぁ…;」
流石に迷子になりました、とは言いづらいから俺は黙って苦笑いしていた。
「…?まぁいいや、お兄ちゃんも氷樹が見えるようになるといいね♪」
男の子は無邪気に笑って俺の横を走って擦り抜けていった。
俺が慌てて振り返ると男の子は影の中心辺りで何かに吸い込まれるように消えてしまった。
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