クジラにあこがれた甲虫

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とある昔のとある日に、彼は政務にあきて散歩にでていた。 エサ場の取り決め、なわばりの範囲。どれも大切だが、同時にどれも自分でなくてもこなせることだった。 彼は、王であることへの自信を無くしていた。 そうして、とぼとぼぶんぶん海まで飛んできたとき、 ざっぱ~~ん!! と、いきなり水の壁が目の前にできた。 まるで、クワガタ兵長の攻撃の嵐の様なそれを、甲虫は必死で、パニックになりながらも耐える。 ━━━━━いったい何事なのだ?! 甲虫があわて手前を確認したとき……… ━━━━━黒。 目の前いっぱいの、まるで宝石のように輝く、黒。 くしらだった。 くじらが、目の前いっぱいに、はねていた。 甲虫は、その光景に心を奪われた。 なんと美しく、なんと偉大で。 そしてなんと力強いのかと。 甲虫はその姿にあこがれた。
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