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どれくらいの月日がたっただろうか…
僕はそのまま「あきお」のフリをして長い間居座っていた。
まるで本当の母親のように優しくて、悪いことにはちゃんと叱ってくれた。
食事もしっかり食べられるし、夜だってフカフカの布団で寝られる。
もうこのままずっとここにいようか…
だが、優しくされればされるほど僕の心は痛んだ。
こんなに優しくしてもらっているのに、僕はこの人を騙し続けて生きていくのか…
それはできない!!
僕はきちんと自分が「あきお」ではないこと言おうと決意した。
もうバカなことは二度と考えないようになっていた。
すごくショックを受けるかもしれないけど、もうあの人を騙すことはできない…
『あきお、どうしたの。』
『話があるんだ。』
『なに?』
『今まで騙してごめん!本当はあきおじゃないだ。ずっとあんたの息子のフリをしてたんだ。騙して本当にごめん。』
『…。』
『許してもらえないと思うけど、ちゃんと言わなきゃって思って。だから…』
『わかってたよ…。』
『えっ?』
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