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普段なら街の天気や、行き交う人々を映し出すはずの街頭カメラが、それを映し出していた。
異国の軍隊が、街を制圧していた。
乗り捨てられた車両。
数台は炎上している。
何人かスーツ姿の人間が血溜まりに倒れており、また一人、サラリーマンが横断歩道の真ん中で撃たれた。
画面の奥、スクランブル交差点の真ん中に降り立った大型の兵員輸送ヘリから、続々と武装した人間が降りてくるのが見えた。
「隊長…これ…何ですか?」
山口が引きつった顔で犬神に訊ねた。
犬神は口を開かない。
否、開けなかった。
加藤が他の局にチャンネルを変えるが、ほぼ全ての局が同じような映像を映しており、これが映画や特撮ではない、現実の出来事だと伝えていた。
犬神が口を開こうとしたその時、基地中のスピーカーが吼えた。
非常事態の発令を示すそれが全員を画面の向こう側から引き戻した。
犬神が立ち上がり、口を開いた。
「行くぞ。仕事だ。」
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