正義のカタチ。

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「隊長、俺達への命令は!?もう前線に飛ぶんですか!?」 オフィスに戻るなり井上が食いついてきた。 テレビは緊急国会の様子を映しており、見ると、彼のデスクの下段引き出しには思い切り蹴られた跡が残っていた。 「命令は…待機だ。井上軍曹。第五小隊への命令は、待機だ。」 「なッ…待機…?どういう…」 「ゴーストのトップからの命令だ。しようがない…。」 「納得行きませんよ、そんなの!俺達が此処で一番実戦を経験してるんだ!俺達が動かなくてどうするんですか!!」 「そうですよ!!俺達の国が攻撃されているのに!」 加藤と山口も食ってかかる。 「上の判断だ。俺達は狗だ、逆らう事は出来ない。」 犬神が訥々と答える。 「だからって隊ちょ…」 「それに、だ。」 井上の言葉を犬神が遮った。 「俺達はゴーストだ。俺達には俺達の仕事がある。俺達にしか出来ない、仕事がある。わかるな。」 その言葉に全員が黙った。 しかし井上だけはまだ納得行かない様子で、 「しかし隊長、こうしてる間にも敵はこの国を侵略してるんですよ!?同胞の命を奪い続けてる!!」 そう吠えながら握り拳をデスクに叩き付けた。 「まぁ待つんだ、井上軍曹。今に命令が下るだろう。恐らくは…総理直々の“殺しの依頼”がな。」 井上がはっとした表情で顔を上げた。 「軍曹、備品は大事に扱えよ。大切な国民の血税の賜物だ。」 「…はっ。了解であります。」 井上が犬神に敬礼を示す。 この数分後、第五小隊のもとに首相官邸より直々の命令が下る。
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