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第五小隊の下に命令が下った一時間後、第五小隊は日本上空にいた。
一時間前。
「ソヴィエトに潜入!?」
山口は驚きのあまりオウム返しにそう叫んでしまった。
「そうだ。これから第五小隊は北海道に飛び、そこからソヴィエトへ潜入する。俺達に与えられて然るべき仕事だろう。」
そうは言いながらも、実際は犬神も驚いていた。
恐らくは最前線、或いはその先で諜報・破壊工作などの非正規任務に就くものと考えてはいたが、まさかいきなり更にその先、敵の懐に放り込まれるとまでは思っていなかった。
犬神はファクシミリで送られてきた書類を読み終えると、谷池に渡した。
谷池はそれにざっと目を通し、書類鞄に仕舞った。
谷池は他の隊員に比べて事に動じてる様子はほとんど感じられない。
いつも通りの、何処か解脱したような、柔らかな表情を湛えていた。
きっと何が起ころうと、彼には既知の事象にすぎないのだろう。
谷池はそういう男だった。
「上等ですな!我々ゴーストには打ってつけの任務ですわ!」
井上が拳を掌に打ちつけながら言う。
「詳しくは移動の機内で伝えられるそうだ。すぐにヘリが来る。装備も向こうで支給される。行くぞ。第五小隊、出動だ。」
第五小隊が犬神を筆頭にオフィスを後にした。
鉄火の敵地へと出向いて行った。
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