気持ちの共有

4/9
前へ
/9ページ
次へ
「…おい、蛍焔。お前…学校は?」   由慧はそう言いながら部屋の時計で時刻を確認する 今は八時三十五分を指している 今日は平日な上に、もうとっくに中学校の始業時間を回っている   だが、話の内容とは裏腹に由慧の口調は冷めている ただ義務のように事務的に   「んー? あー。今日は創立記念日だから休みだよ。そう言う由慧兄は?」   携帯電話をスカートのポケットに入れながら、蛍焔は特に気にする様子も無く軽い口調でそう答える そして、そのままの調子で由慧の予定を聞く   「…今日は休講だから、まぁ休みだ。それで、水姫(みずき)さんは家に居るか?」   「母さん? まだ事務所から帰って来てないよ。確か…今日の朝の便で南プロヴァンスに行くんだ、って一週間くらい前から言ってたよ。由慧兄、知らなかったの?」   水姫とは蛍焔の母親…つまり、由慧の母親の親友だ ここ最近は仕事が忙しくてなかなか家に帰って来ない。だが、蛍焔自身は特に気にしている様子も無い   由慧は高校生の時から水姫の仕事の手伝いをしている 将来は水姫の下で働く気でいて、そのため水姫の事務所で目下研修兼バイトに励んでいる
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加