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「……まったく!」
結局あの後、しこたま痛め付けられた禁児は尻尾を巻いて部屋に逃げ帰りました。
一度舌打ちをしたキャティは爪をしまって、制服を脱ぎ、ハンガーに綺麗に掛けました。
「……楽しみやなあ」
それを見て、少し機嫌を直したキャティが、ゆっくりとパジャマに袖を通します。
やがて、ピンクのストライプ柄のパジャマを纏うと、そのままベッドに横になりました。
初めて過ごす、一人だけの夜です。
「それにしても……。あいつ、本当どうしようも無いやっちゃなあ」
そう呟くキャティは、何故か落ち着かない様子でした。
「……ウチがしっかりせんとあかんな。禁児も本当に世話が焼けるで」
そう言いながら、キャティが枕を抱き締めます。
「……。一人って、寒いんやな……」
キャティが一人、溜め息をつきながら呟きます。
じめじめと暑苦しい、初夏の夜でした。
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