第1話:天使と悪魔と猫一匹

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       -半年後- 「ほら! もう朝やで!」 亜麻色のショートカットヘアに猫の耳がついた、見た目16歳位の勝ち気そうな瞳を持つ少女が、ベッドで眠る禁児に向かって大声をぶつけます。 テレビやらタンスやらが置いてある小さめの部屋に、所狭しと貼り付けられているのは『ザ・野球拳~欲しがりません、勝つまでは~』やら『ドギマギメモリアル~伝説の二宮金次郎像の下で~』等のタイトルをバックに、二次元美少女がでかでかと描かれているポスター。 入室者の八割はドン引き確定なそんな部屋のベッドで、禁児は少女の大声に動じる風も無く、ぐっすりと寝ています。 「ああん! 駄目……駄目だよ詩織里ちゃん! こんな隠しイベント……。あ…いやん、ああ~ん!」 一人ベッドで気色悪い声をあげて、ケツを振りながら悶える禁児。 早く死ねばいいのに。 「えっ!? このサイトに登録すれば詩織里ちゃんの大変な姿が見られるの!? しかも今なら5000ポイントサービスでリアルで欲求不満な女の子と出会えちゃう!? するする! 登録するーー!」 おっと、なにやら雲行きが怪しくなってきました。 現実なら人生終了まっしぐらですね。 「ええから起きんかあっ!」 そう言うと、少女は持っていたフライパンで禁児をぶん殴ります。 禁児に当たった時、打撃音の他に、微かにジュッ…という音がした事から、このフライパンはまだしっかり熱が残っている事が分かります。 「あだだちゃちゃちゃぼよよーん!」 ベッドから大きく飛び上がり、奇声を上げる禁児。 ざまーみろですね。 「なあにしやがんだキャティ! せっかく墓場将軍ゾンビベイベーを倒して、詩織里ちゃんの墓石ルートに到達したのに!」 そんなシュールなルートでどうやったらさっきの寝言のような展開になるのでしょうか。 ていうか、あんな悪徳サイトみたいなギャルげーがあるのでしょうか。 本当に、脳みそ開いて見てみたいですね。  image=132791635.jpg
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