第1話:天使と悪魔と猫一匹

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  「全く、なんでウチはこんな奴に拾われてしまうたんかなぁ……」 キャティが大きくため息をつきながら項垂れます。 二人の出会いは、半年前のクリスマス。 雪の中で凍えていたキャティを連れ帰った禁児こと変態ザウルスは、 「猫だからキャットをもじってキャティでいいだろ!」 と、安直なセンスで少女に名前を付け、あろうことかまだ幼いキャティに襲いかかろうとしたのです。 完全に事案です。ここで捕まってくれていれば、世の中はもっと平和になっていたのに。 しかしところがどっこい、禁児から貰った牛乳を飲んだキャティは急成長! 今の、高校生くらいの姿に早変わりしました。 そして禁児は成長したキャティに痛烈なアッパーカットを食らった挙句、爪で串刺しにされ、地面に叩き付けられ、文字通りボッコボコのグッチョグチョにされました。 いやあ、ざまーみろですね。 やがて、ひとしきり暴行が終わった後で事情を聞くと、キャティは今までの記憶を失っていて、自分が何者なのかも分からないと言うことを知りました。 で、たまたま親元を離れて一人暮らしをしている禁児のアパートで同居する事になったという、ド定番なお約束な展開があった訳です。 ちなみにキャティの怪しげな関西弁もどきは、禁児のするゲームや、禁児の見てるアニメから、キャティが覚えてしまったものです。  
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