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「ほんまに、よりによってこんな変態に拾われてしまうなんてなぁ……不運やわぁ」
「クク……いいじゃないか。拾ったのが俺じゃなかったら、今頃見世物にでもされてたかもしれんぞ? それよりはマシだろう」
「確かにそうやけど……それ自分で言うことやなくない?」
禁児の妄言に、キャティが呆れた表情で呟きます。
しかし当の禁児は、他人事のようにボーっと時計を見つめていました。
「てか、まだ時間あるじゃん。あんな慌てて起こす事無かったんじゃね?」
「忘れたん? 今日はウチが禁児の髪の毛切る言うたやん」
それを聞いた禁児は、ポンッと手を打ちます。
「ああ! しっぽり忘れてた!」
「すっかりやろ! 禁児はほっとくと何か月も切らんからな。食べたらとっとと準備するで!」
先に食事を終えたキャティが勢いよく立ち上がり、ハサミなどを取り出しにタンスへ向かいます。
「ほ~い! 頼むぜ姉御!」
「はあ……。調子ええやっちゃな~」
飄々とした禁児の声に、キャティが溜め息をつきながらも、一度振り向いて返事をします。
そんなこんなで、今日もいつも通りの一日が始まる……と、思われたのですが……。
今日この日は、禁児達にとって、忘れられない日になるのでした。
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