継母

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継母

翌日から母を「おばさん」と呼ぶようになった。 そう呼ぶと母はたまらなく悲しそうな顔をした。 その後、なにかと私に気をつかいだし、必死になる母をよけいに煩わしく感じ、 口もきかなくなってしまった。なんとなく家に居ずらくなったので、夜は出かけるようになった。 それから一ヶ月がたとうとする頃、シカトし続ける私に母が「部屋で読んでね」と手紙 を差し出してきた。が、私はその場でぐしゃぐしゃに丸め、ゴミ箱に捨ててしまった。 それを見ていた父が私をはり倒し、震える声で「母さんはなあ…」と言ったが 、私はろくすっぽ聞かずに泣きながら自分の部屋に逃げた。 ・・・翌日、母は帰らぬ人となった。 居眠り運転をしていたトラックが赤信号を無視し、母に突っ込んだそうだ。 即死だった。 あまりに急な出来事のため、泣くこともできず、通夜が終わった後も母のそばで ぼう然としていた私に、父がボロボロの紙きれを渡し、一言「読め」といった。 昨日の手紙であった。そこには母らしい温かい字でこう書いてあった。
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