VS.01 再会

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黒いベンツのタイヤが,つま先スレスレで止まる。 黒い,車。 私は思わずそのベンツに蹴りを入れた。 「その癖は直りませんね。」 へこんだベンツ。そのベンツから出てきたのは今朝の男。 『…何で貴方がいるの。』 「また派手に蹴ってくれましたね。この馬鹿力。」 『うるさい黙れ。条件反射なのよ。』 そう言ってまた力一杯蹴る。 ベンツなど高級車が停まったら思わず蹴ってしまう癖が幼い頃からあった。 「やめてくれませんか。貴方の身体に青アザ作りますよ。」 ドカッ! 『!!いたぁあい!!!』 ちょっ!! 本当に蹴りやがったコイツ!! 昔からそうだコイツ!! 誰彼構わず暴力を振るう! この有言実行男め!! 『女の子を蹴るなんてアンタ本当に最低な男ね!!』 「人の車を平気で蹴る女も最低ですよ。」 『もう話しかけないで!!』 「出来ればそうしたいのですが,早く車に乗って下さい。」 途端に後ろから現れたもう一台のベンツ。 なるほど,私が蹴る事を予想してたか。いや感心してる場合じゃない! 「早く乗れって言ったでしょ。」 『!!!』 声がしたと同時に車の中へ突き飛ばされた。"優しく"という言葉を知らない奴め!!  
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