338人が本棚に入れています
本棚に追加
『…準備がいいのね…』
「貴女に蹴られるのは予測済みです。へこんだ車に乗るなど私には無理な話なので用意していたまでです。」
『…アンタ格好悪いの嫌いだもんね。ってゆーか…何処に向かってんの。』
「何処にって,貴女は自分の家路も分からないのですか。私が貴女を何処かに連れて行こうなんて考えると思いますか。」
『アンタに聞いた私が馬鹿でした。』
確かに,流れるのは見慣れている景色。
フン,と鼻で笑うアイツを一睨みすると,私はまた窓に向き直った。
『…何か用事でもあるんですか。アンタはまた私を苛めに来たのですか。』
「貴女が敬語を使うとは寒気がしますね。」
コイツの一言一言は本当に腹が立つ。
昔からそうだ。さき兄,うき兄の親友だと言うから優しいのかと思いきや,全く正反対の奴で。
幼い私を苛めるが為に,さき兄,うき兄と遊ぶようなもんだった。
でも,私は祐真が好きだった。
好きだったからこそ,祐真が私を苛めるのは歪んだ愛情表現だと前向きに考えていた!
幼かった私はなんて強いの!
最初のコメントを投稿しよう!