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パタン,と携帯を閉じた。
もっと,もっと華鳥と話したかったけど,けど!
「華鳥の学校まで行くなんて,どういうつもり?祐真クン。」
「ただの挨拶ですよ,佐夾。」
今,目の前にいるお客様のせいで切らなきゃならない羽目に。
「何の用だ祐真。俺達を呼び出して。」
「そう急かさないで下さい,優夾。」
進宮優夾(ウキョウ)。26。進宮家次男。
進宮製薬会社社長。
俺の双子の弟。
「月葉や風那も呼んだって?」
「あの二人は今多忙で来られない。」
濱崎月葉。(ハマサキ ツキハ)
甲斐堂風那。(カイドウ フウナ)
共に25歳の双子。
結婚して名字は変わっているが,進宮家長女・次女。
俺達の妹。
「おや,そうですか。」
「そうですかじゃねぇよ祐真。」
「早く話せ。まさか華鳥に関わることじゃないだろうな?」
華鳥,という名前に,祐真は帽子を取り微笑んだ。
目は,笑っていなかったが。
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