白い少女と優しい少年

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月日は流れ、一週間後。 日も暮れた午後七時、夜桜を煌々照らしながら、祭りが始まった。 病院の庭で行なわれているため大きなものではないが、けれどその賑わいは確かに、粉う事無く、祭りのそれだった。 「うわぁ……これは、凄いな」 その光景に、感嘆の声を上げる月都。 もっと閑散としたものを想像していただけに、この光景には驚きを隠せなかった。 「ね、茜はどう思う……って、聞くまでもないか」 「…………ふわぁ」 感嘆とも、驚嘆ともとれる息を吐きながら、目をきらきらさせて辺りを眺める茜。 今までの彼女を知る人ならば、その光景は間違いなく、異常に映っただろう。 茜がこれほど素直に感情を表せるようになったのは、疑い様もなく、違え様もなく、真実、月都の積極的なコミュニケーションによるものだろう。 「去年までは、こういうお祭りってなかったの?」 しっかりと、目を逸らさずに、けれど優しく、とても優しく、問い掛ける月都。 そんな彼が相手だから、茜も素直に、怯える事無く、返事をすることができた。 「んと……あった、けど。来たことなかったから」 やっぱりどこかぎこちなく、問い掛けに答える茜。 綺麗な、長い黒髪も相まって、大人っぽい雰囲気を持つ茜だったが、見せる表情や紡ぐ言動はとても幼くて、そのアンバランスさがとても可愛くて、月都は好きだった。 「――ん、そっか。じゃあ、今日は沢山楽しまなきゃね」 にこっ、と笑う月都に、茜はちょこっとだけ悩んで。 「……うんっ」 ちょこん、と小さく頷いた。
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