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「おはよう」
朝を象徴する言葉。いつもこれに対して同じ言葉が返ってくる。
「おはよー」
いつもと同じ、変わらない日常。平和なリビングだ。
「俊輔、遅刻するよ?」
「え!いま何分!?」
「えーっと……48分」
家を50分に出なければ学校は間に合わない。
「やべ!朝飯いらねぇ!行ってきます!」
俺は勢いよく玄関のドアを開けた。
澄んだ冷たい空気が俺を迎えてくれる。
少し肌寒い…
カチカチと歯を鳴らしながら、俺は2年前に買ったママチャリに乗った。
地面に爪先しか付かない高さの自転車を門の外まで持っていき、スピードに乗った。
全力疾走だ。
耳元で冷たい風の音がする。
周りの景色が凄い勢いで後ろに消えていく。
シャアーーーーーー!!
朝の静けさに自転車の音だけが響いていた。
住宅街を越え、橋を越え、大きな交差点を越えた後の河原で、俺はブレーキをかけた。
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