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目を開けて、真っ先に飛び込んできたものは真っ白な天井だった。
視点を右に移せば、これまた真っ白なカーテンが優しい日差しを受けながら風に揺れている。
それがあまりに綺麗で、一瞬ここは天国なのかと思った。
けれど視点を左側に移したとき。
すぐ側でパイプ椅子に腰を掛けた、よく見知った人物を見つけて。
それが夢なのか現実なのかをぼんやり考えていたら。
俺が見ていることに気付いたらしいその人物は、開いていた本を閉じた。
「……天国に知り合いはいないハズなんだけど」
「そりゃ残念だったな」
ふぅ、と息を一つもらし、大樹は浮かべた笑みを微かに歪めた。
苦しそうな、でも安心したような。
その二つが混ざり合ったような笑みだ。
「大樹?」
「……散々心配かけやがって」
後で覚えとけよ、と俺の頭上のもっと上に伸ばした手の行方を目で追ってみたら。
ボタンのようなものを押し、機械の向こう側にたった一言何かを告げた。
すぐさま駆け付けてきた、白い服やら白衣やらを着た大人数名を見て。
ようやくここが病院であることに気が付いた。
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