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片手をベッドにつき、身体をゆっくりと起こし。
躊躇いつつも、花瓶に活けられた花に手を伸ばして触れてみる。
「……千倉、」
ホントにどこもケガしてないか?
手、擦りむいたりとか。
足を捻ったりだとか。
痛いの、また我慢とかしてないか?
球技大会の前日も、当日も。
俺は気付けなかったから。
あの時思ったんだ。
今度は俺が守りたいって。
他の誰でもなく、俺が。
――――今度は、ちゃんと守れたかな。
守れたならすっげぇ嬉しい。
俺が千倉にしてやれることなんて、本当に少ないから。
それともまた、『余計なお世話』って言われちまうかな。
うん、でも。
それでもいいや。
千倉が無事なら、それで。
「……やっぱ、会いたかったかも」
格好付けるんじゃなかった。
元気そうな顔だけでも見たいって言っとけば良かった。
だけどそれ以上に。
俺を見て辛そうな顔をする千倉を見たくなかった、なんて。
ただの俺の我が儘なのかもしれない。
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