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部活の休憩中、剣道場の外へ出て汗を拭きながら涼んでいると。
楓が息を切らして駆け込んで来た。
「楓?どうし……」
たの、と言い切る前に突然肩をガシッと掴まれ。
驚いてそのままでいると、息を整えながら楓は顔を輝かせて言った。
「聖くん、意識が戻ったんだって!」
「!」
思いがけない朗報に目を見開く。
楓はとても嬉しそうに、安心したような笑みを浮かばせた。
「さっき九条くんから連絡があったの。意識もしっかりしてるみたい」
「……そう、なんだ」
話を聞いて、ほっと胸を撫で下ろす。
……良かった。
白いベッドに寝ている早坂は瞼をピクリとも動かさなくて。
お母さんみたいに、もうこのまま二度と目を覚まさないんじゃないかって。
病室に足を運ぶたびに、すごく怖かった。
だから。
(本当に、……良かった)
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