ぐ、と言葉に詰まる。
「それは……」
確かにそうだ。
正論だから言い返せない。
つい今まで付き合ってきた子と同じように呼んでしまった。
人差し指に続いて中指が上がる。
「二つ目。そのくせ、名前も名乗らない。礼儀がなってない」
「……っそれは!名乗る前にアンタが俺を投げ飛ばしたからだろ!?」
「じゃあなに?あのまま楓に飛び付いてから自己紹介しようとでも?」
そんな気はなかった、なんて如何にも嘘っぽいセリフ。
絶対にこの場で通用しない。
「そんな男を楓に近付けさせない。出直して来なさい」
有無を言わせない強い口調。
瞳に宿る静かな敵意。
思わず背筋が凍る。
用は済んだとばかりに、その子は俺に背を向けた。
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