CASE1 坂本佑一の場合

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久しぶりの休日に奴は現われた。 【CASE1 坂本佑一の場合】 このところ仕事が忙しく、ようやく手に入れた休日。無論、爆睡する気は満々だ。 二度寝を決め込んで布団をかぶった瞬間古めかしいチャイムが来客を報せた。 先日まで壊れて音の外れていたチャイムは、大家が直してくれたらしい。 「はいはい、どちらさん?」 適当にあしらって、即刻退散願いたかったが、ドアを開けた先には男が一人立っていた。 しかも郵便局員らしく、制服と帽子に黒い鞄を肩からかけた、どこからどう見ても郵便局員。 「坂本佑一ってアンタ?」 面倒くさそうな顔の男は、営業スマイルの一つもなくそう訊ねてきた。 「そうですけど、なにか?」 「まあ、とりあえず立ち話もなんだから中へ入ろうぜ、なんもないけどな」 「はあ、そうですね。ほんとなんにもな――」 俺の肩を軽く叩いて、男はさも当然の如く部屋に侵入。俺は、危うく自分の部屋なのに俺が客みたいな立場になりそうになって、男に怒鳴った。 「なんもないとか失礼だなっ、つかあんた何、俺の部屋に堂々と不法侵入してんだ!」 しかもこれまた堂々と冷蔵庫を物色され、慌てて男を止める。
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