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四月。
入学シーズン。
あたしもとうとう中学生になるのだ。
あたしは山端唯衣。
今、あたしの周りに知ってる人は一人もいない。
いや、探せば何人かはいるはずなのだが、つい先月までまとまってたというか、つるんでたというか、そういう仲のいい友達はこの場にいないってことだ。
なんでかっていうと、両親の『学校よりも学園のほうが響きがいいから、ちょっと遠いけど私立受けなさい』なんてノリだけのような発言に対し、あたしも『わかったー』と適当に受験し、見事(いや、皮肉にも)合格してしまったからである。
だからといって、緊張なんてしてるあたしじゃない。
それより今は、意味のわからない学園の名前に関して考えなければならないのだ。
あたしはもう一度、校門の表札を見た。
私立・×××学園。
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