最終章《生きてこそ》

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爽やかな潮風がフワッと下から吹き上がると、花束は風に乗ってゆっくり海面に落ちていった。 海水の上で、波にのってユラユラ揺れる花束を見つめながら、 ハルは首からかけていたターコイズのネックレスを外した。 陽介から誕生日にプレゼントされたこのネックレスは、 陽介とハルの重なる年月をずっと見守り続けてきた。 「陽介ありがとう。 約束するよ……。うちは、生きていく。 生きてみせるから。」 手のひらに乗せると、ハルはゆっくりネックレスを離した。 「さようなら……、陽介。 さようなら……、美雪さん。」 思い出のいっぱい詰まったネックレスは、サーッと海の中に消えていった。 眩い太陽の光に、一瞬だけハルの瞳が光った。image=136676474.jpg
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