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爽やかな潮風がフワッと下から吹き上がると、花束は風に乗ってゆっくり海面に落ちていった。
海水の上で、波にのってユラユラ揺れる花束を見つめながら、
ハルは首からかけていたターコイズのネックレスを外した。
陽介から誕生日にプレゼントされたこのネックレスは、
陽介とハルの重なる年月をずっと見守り続けてきた。
「陽介ありがとう。
約束するよ……。うちは、生きていく。
生きてみせるから。」
手のひらに乗せると、ハルはゆっくりネックレスを離した。
「さようなら……、陽介。
さようなら……、美雪さん。」
思い出のいっぱい詰まったネックレスは、サーッと海の中に消えていった。
眩い太陽の光に、一瞬だけハルの瞳が光った。
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