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麻雀かぁ。昔は良く父さん達とよく打ったなあ。
でも父さんと母さんが離婚して、母さんと暮らすようになってからはピアノ一筋の生活だったから、昔のように打てるか心配だわ。
久しぶりに雀荘でも行ってみようかしら。
確かこの通りを曲がって、赤い看板。
あった!昔と全然代わってない!まだ、あの店長居るかなあ。
カランカラン…
「いらっしゃい!」
「空いてるとこありますか?」
「あの奥の席なら、さっき一人抜けたから良いと思うよ」
「ありがとう」
「ちょっと、良いんですか店長あの席にいる連中めちゃくちゃ強いですよ。
あっちの初心者の方がいいんじゃないんですか?」
「お前は入ったばかりだから、知らないんだな、素人なんかと打たせたらそれこそ大変な事になっちまうぞ」
「そんなに、強いんですか、若くて可愛いのに」
「可愛い?あれは、悪魔だよ。悪魔の階段って、昔は呼ばれていたくらいさ」
「ここ良いかしら」
そう言って私はタバコ臭いオヤジ達の卓に座る。
「若いねぇ~。良いけどお金あるの?」
「学生ですから賭はしません」
「困ったなぁ。じゃあお嬢ちゃんが負けたらおじさん達とデートしてよ」
「私が勝ったら?」
「何でも言う事聞くよ(笑)」
なんて下品な目で見るのかしら。ちょっと相手する積もりだったけど全力で叩き潰してやる。
「じゃあ私が勝ったらこの店で賭麻雀やらないで貰えますか?」
「良いよ。その代わり負けたら大人のデートだからね」
「問題ないわ。じゃあ初めましょう」
久しぶりのパイ。ひんやりとして気持ちよい指触り。
そしてゲームが始まった。
5順目
「リーチ!ゴメンね~おじさん~早打ちだから」
すかさず私
「ロン。タンヤオピンフドラ3」
固まるオヤジ。
そして、私の親。
自分の風の東で
「カン」
さらに、積もって
「カン」
さらに、積もって
「カン」
そして見事にドラ乗り
この時点でタブ東3アンコドラ4
恐怖に震るえるオヤジ達
みんなの捨て配の速度が落ちる。
そんな事に関係なく私は彼等に更なる恐怖を。
「リーチ」
まだ8順目。私の捨て配からは検討も出来ない待ち
重い空気が卓を包む。
「ツモ!」
そして真の恐怖が。
「リーチ、タブ東、3アンコ、ドラ4に裏ドラが4乗って数え役満ね」
何度も恐怖を味わったオヤジ達は捨てセリフを吐く余裕もなく店を出ていった。
そして、この夜から彼女は悪魔敵な強さで雀荘に再び降臨したのであった。
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