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「…はい。はい。以上ですよ、高野さん…ひひ。
お時間取らせてすみませんでしたねぇ…では、また。ひひひ」
「う、ぁ………は…い」
やっとの思いで、そう声を絞り出した響子は、大家がくるりと再び踵を返し、先程来た廊下から階段へと消えるまで、ドアを背にしたまま動けなかった。
ずる、と、力の抜けた膝に釣られて、背中がドアから滑る。
暫くの間響子はドアに背を預けたまま、そうして浅い呼吸を繰り返していたが、直に呼吸が落ち着いてくると、未だ震える指先を喉にやり、静かに深呼吸をした。
深く息を吐き、辛くなって来た辺りで一気に息を吸い込む。そうして漸くそこで、安堵の溜め息を吐いた。
「ふぅ……」
やはり、あの大家は苦手だ。
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