1184人が本棚に入れています
本棚に追加
――――――死んでもいいと思っていた
自分の安否なんてろくに考えず……
ただ、たった1人の血の繋がった弟の仇を取ろうと思っていた
命なんてとうに捨てていた筈だった――――
「おいおい、この女結構やるようだぜ」
――治安の悪い街、ナーズ
後に闇の街と呼ばれる無法地帯と化したこの街の裏路地で、1人の女が捕まった
「……;」
女は両腕を捕らえられ、鬼の形相で男を睨んでいる
しかし対する男は仲間を呼ぶと、下卑た笑いを向けた
「あぁーあー。
7人もやられちまって……
女にしちゃやるみてぇだが油断はするもんじゃねぇぜ?」
「おいどうするこの女?ヒッヒッヒ。まだ若いな……売り飛ばすか?」
「下衆共!!弟を……マオルを返せ!!!」
必死に叫ぶ女だが、男達はそれを笑い飛ばした
「弟ォ?知らねえなそんな奴。
もう売り飛ばされちまったんじゃねぇの?」
「若けりゃ高く売れるからなぁ。ヒッヒッヒ」
「嘘だ!!
お前達が……お前達が殺したんだ!!
私の!目の前で!!」
「おいその女黙らせろ」
ボスらしき男が数人の男と共に現れ、仲間の男に指示を飛ばした
女は背後から口を縛られ、それに怯んだ際に足枷を付けられた
縛られた腕を無理矢理上げられ、強引に立たされる
「――上玉だ……
お前ら、手は出すな。強気な女は好まれる傾向にある。こいつは高値が付きそうだ」
ボスらしき男は女を舐め回すように見ると、羽根ペンを取り出した
ボスの言葉を聞き、男達はさらに下品な笑いを浮かべた
「あーこちらB-005。幹部へ繋いでくれ」
「んー!んー!!」
女はなおも何かを訴えるように足掻く
しかし、そんな光景を男達は面白そうに嘲笑っている
――1人の男が倒れるまでは……
何か大きな物が落ちて来たような音の後、男達が次々と倒れていった
「な、なんだ!?どうしたお前達!?」
「だ、誰だテメェ!!?;」
数人の男達の視線の先に、薄い赤マントをした屈強そうな男が立っていた
血の付いた大剣を片手に持ち、緑色を宿した瞳は鋭く男達を見回している
特徴的なのは、左頬にある大きな傷痕だった
「……悪いが、悪党に名乗る名は持ち合わせていない」
低い、威厳のある声に男達は激怒した
「やっちまえお前ら!!!!!!」
――それから約1分後、裏路地には2人の人間が立っていた
最初のコメントを投稿しよう!