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「……クインダム」
「なんだ?」
レダとクインダムの視線がぶつかり、2人の瞳に仄かな安らぎを見たようにエティは感じた
「お前は相変わらずだ。
あの人の事となると、魔法政府にまで乗り込んで来た」
「はっ。それはお前にも言えるんじゃないのレダ。
政府の役人になってジェック達を探すたぁ感心だな」
「……私は何も2人を捜すためだけに入隊した訳じゃない」
「わかってるさ。腐れ縁じゃないの」
2人は揃って苦笑した
その姿に、先程までの犬猿の如く勢いは無い
「すみません皆さん。なんだか見苦しい物をお見せしてしまって」
レダがラクレスから順に、最後にグダイに向き直った
「いや構わん。さっきまではあんたらが殺し合いでも始めそうな雰囲気だったからな」
――ロアが吹いたのは、ラクレスに似合わないフォローの仕方だったからだろう
「一体あなた達の関係は?」
エティの訊ねた事は、見事他の3人の的を射ていた
「私達は同じ人を師に持ちます。シドルニアと言う方です」
「――予想出来ない事はなかった。そうだろ総隊長さん?」
ラクレスはいつものポーズで面白そうにグダイを見た
「あぁ。なんとなく察しはついていた。
お前から聞いた僅かな事を踏まえてな」
レダは優しくグダイに微笑みかけ、そして背を向けた
「彼――――シドルニアさんは、レイミンの、そしてジェックの実の父です」
「――はっ!?」
もっとも露骨に驚き様を見せてしまったのはロアだった
「だ、だってシドルニアって人は、シドルニア・ズウェアだって…………;」
「そう。ラナティムではない―――――世間的には」
「世間的に?;」
すかした顔をするクインダムを挟んだ形の2人は、両者共レダを凝視している
「何故なら、彼はラナティムの名を捨てたのです」
「捨て……!?;」
「正確にはその名を使わなかったんだがな。
ラナティムと言えば、勇者の末裔だか賢者ルクだか色々厄介事が舞い込んで来るからな」
「……聞いたような動機だ……いや、なんでもない。続けてくれ」
ラクレスは意味深に呟くと、レダへと話題を返した
「そして旅の途中、ローミンと言う女性に出会い…………」
レダはその先の言葉を躊躇しているようだった
「――出会い?」
「…………ごめんなさい!
私をレイミンに会わせて下さい!」
ロアは難解なレダの言動に首を傾げた
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