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「だ、大丈夫ですかレダさん!?;」
ナルは駆け寄って肩に手を置くと、レダが震えている事に気が付いた
「……ごめんなさい。何か悲しかったですか?」
おかしな事を言い出したレイミンに吹き出したのはラクレスだった
エティはそんなレイミンを見て微笑み、その隣に立つロアは膝を着いて涙を流すレダを見つめていた
「……ぅ、ううん…………なん……でも……
あなたがまさかそんな事覚えてたなんて……」
レダはナルからハンカチを受け取り、涙を拭く
「それしか覚えていません。気が付いたら、私はドルカスさんと一緒でした」
「あぁドルカスってのは俺達の仲間だ。
訳あって別れたが、いい奴だ」
ラクレスが説明している間に、レダは立ち上がっていた
「あのねレイミン…………
突然やって来て、こんな事言うと混乱するかもしれない。
傷付くかもしれない……
でも……あなたには真実を知って欲しいから」
ようやくだ、とロアは思った
「……あなたのご両親は亡くなっている。
そして私は、両親を亡くしたあなたの親代わりになろうと誓った」
レイミンはまっすぐにレダを見つめている
両拳を握り、しっかりと、聞き逃すまいと――
「だけど……私が重傷で倒れていた時、あなたは突然居なくなった」
「………………覚えてません……」
何かをこらえるように唇を噛む
――ナルにはそんな風に見えた
「……私ね。ずっとあなたを探していたのレイミン。
ラナティムの名を持つ賢者ルクがバルードへ来るたび、私は胸が破裂しそうな想いだった……」
「何故だ?ルクに頼めば会う事も――」
「向き合えていなかったんです。私自身に…………
いまさら会いに行った所で、レイミンがどんな反応をするか……私の事を覚えてくれてるのか…………」
「でもこうやって向き合う事が出来た。
そうでしょうレダさん?」
「はい……」
微笑みと微笑みが重なった後、レダは立ち上がりレイミンの方へ向き直った
「……全てと言う訳にはいかないけど……
あなたのご両親の事、あなたのお兄さんの事、そしてあなた自身の事も……私の知る限りを話すわ」
レイミンは何故だか哀しげな目で視線を逸らしている
「始まりはあの日…………
私が、たった1人の弟の仇を取ろうと、奴らのアジトに乗り込んだのが初めての出会いだった――――」
そしてレダは、夜空に浮かぶ満月を見て語り始めた
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