―†師弟‡―

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――――――死んでもいいと思っていた 自分の安否なんてろくに考えず…… ただ、たった1人の血の繋がった弟の仇を取ろうと思っていた 命なんてとうに捨てていた筈だった―――― 「おいおい、この女結構やるようだぜ」 ――治安の悪い街、ナーズ 後に闇の街と呼ばれる無法地帯と化したこの街の裏路地で、1人の女が捕まった 「……;」 女は両腕を捕らえられ、鬼の形相で男を睨んでいる しかし対する男は仲間を呼ぶと、下卑た笑いを向けた 「あぁーあー。 7人もやられちまって…… 女にしちゃやるみてぇだが油断はするもんじゃねぇぜ?」 「おいどうするこの女?ヒッヒッヒ。まだ若いな……売り飛ばすか?」 「下衆共!!弟を……マオルを返せ!!!」 必死に叫ぶ女だが、男達はそれを笑い飛ばした 「弟ォ?知らねえなそんな奴。 もう売り飛ばされちまったんじゃねぇの?」 「若けりゃ高く売れるからなぁ。ヒッヒッヒ」 「嘘だ!! お前達が……お前達が殺したんだ!! 私の!目の前で!!」 「おいその女黙らせろ」 ボスらしき男が数人の男と共に現れ、仲間の男に指示を飛ばした 女は背後から口を縛られ、それに怯んだ際に足枷を付けられた 縛られた腕を無理矢理上げられ、強引に立たされる 「――上玉だ…… お前ら、手は出すな。強気な女は好まれる傾向にある。こいつは高値が付きそうだ」 ボスらしき男は女を舐め回すように見ると、羽根ペンを取り出した ボスの言葉を聞き、男達はさらに下品な笑いを浮かべた 「あーこちらB-005。幹部へ繋いでくれ」 「んー!んー!!」 女はなおも何かを訴えるように足掻く しかし、そんな光景を男達は面白そうに嘲笑っている ――1人の男が倒れるまでは…… 何か大きな物が落ちて来たような音の後、男達が次々と倒れていった 「な、なんだ!?どうしたお前達!?」 「だ、誰だテメェ!!?;」 数人の男達の視線の先に、薄い赤マントをした屈強そうな男が立っていた 血の付いた大剣を片手に持ち、緑色を宿した瞳は鋭く男達を見回している 特徴的なのは、左頬にある大きな傷痕だった 「……悪いが、悪党に名乗る名は持ち合わせていない」 低い、威厳のある声に男達は激怒した 「やっちまえお前ら!!!!!!」 ――それから約1分後、裏路地には2人の人間が立っていた
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