―†師弟‡―

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――レダがシドルニアの旅のお供をしてから約1年………… ある日2人は、ギルド依頼で向かった治安の悪い街で変な男に出会った 「ぐぁぁぁぁ!!」 「……ふん。口ほどにも無い」 2人の男が倒れる中、私は自分でも臭いと思える捨て台詞を吐き剣を収めた 「師匠!そちらはどうですか!」 振り返って呼び掛けると、そこには気を失ったであろう男を抱える師匠が居た 「あぁ! どうやらこいつらが依頼にあった盗賊団と見て間違いない。 しかしレダ。お前もなかなか腕を上げてきたな」 男を抱えてハハハと笑い声を上げる師匠に、 「師匠ほどではありません」とだけ告げた 「よし。こいつらをギルドに引き渡し、報酬で久しぶりにご馳走でも食べるかレダ」 「この空気のままであまり気は進みませんが…… 師匠がおっしゃるのなら」 悪人を捕らえたその報酬で食いつなぐと言う事に、正直美徳は感じられない しかし、旅人と言うのはそういうものなのだ 師匠と旅をする中で、“生きる”ための術を知った 生きる事に綺麗も汚いも無いと私は思う ――――まったく。凄い人だ…… つい1年前には命など捨てていた私に、生きる大切さと言うものを教えてくれた 私が師匠に抱いていたものは、少なからず憧れの思いだけではなかった 「いやーっ。久しぶりにたらふく食べた。なぁレダ?」 洒落たレストランで私達の経済面では程遠い、ステーキなるものを食べた師匠は幸せそうにそう言った 「はい。 ですがこれから先の宿泊費、旅費など、経済的にまた節約せねばなりません」 私は基本肉が好きではないため、野菜中心のレディースセットなるものを食した 久しぶりのご馳走だけあり、確かに美味だった 「ハハハ。まぁ堅いことを言うな。 金銭面は何とかなる。最悪また野宿をすればいい」 女と二人旅をする男性の言う台詞としてはどうかと思うが、師匠に下心など毛頭無いだろう 宿も毎晩1つの部屋、私にベットを使用させてくれる事が多いが、稀にシングルベットに2人で眠る事もある だがしかし、何も反応が無いのも少々困りものだ だからといって別に変な意味では無いのだが………… ――いや、こういった考えはやめよう 私がいくら師匠を想った所で、所詮は師弟の関係なのだ そういった邪な思いは旅に支障を来す 「あ、ちょっと。 そこの綺麗なお姉さん」 街を歩いていると、怪しげな男が声を掛けてきた
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