―†師弟‡―

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「?レダ?お前の事を呼んでいるぞ?」 ……まったく…… 余計なお世話と言うべきか…… しかしこの場合、見るからに怪しい男を無視した私か、そんな私の気持ちに気付かず呼び止めた師匠か、悪いのはどちらなのだろう ――どちらにせよ、関わらなくてはいけなくなってしまったようだ 「……私か?」 私は手招きする男に近寄り、声を掛ける 黒いフード付きローブを着た男は、フードから覗かせた青白い唇をにやつかせている 「お姉さん、気をつけた方がいい」 「なんだ?どうした?」 師匠も私の隣まで歩み寄って来た 「気をつける、と言うと?」 「右手に関わる災いに巻き込まれる相が出てる。このままだと右手が無くなってしまうかもしれない。ケケケ」 戯言を―――― 「な、何!?本当かそれは!」 何故か食い付いたのは師匠だ 純粋と言うか騙されやすい人と言うか…… 「おっと、しかしご安心を。 この一見何でもない籠手。なんと名高い魔導師達の守りの加護が掛けられているのです」 「ぉ、おぉーっ!!」 どう見てもただの錆びた籠手に対し、驚きの声を上げる我が師の隣で私は呆れていた いや。馬鹿な男に声を掛けてしまった自分に、だ 「名高い魔導師達と言うのは?」 「え; そ、それは……な、なんとあの賢者バリーバ・セロヴィクスだったり、呪術師アチャラ・ヤシャナータだとか言う噂も!」 私の質問に明らかに動揺した男だったが、師匠は再び驚きの声を上げた 「す、凄い代物だ!」 「そう。しかも今ならたったの2万マルティ! お姉さんの災いも避けられるし、破格のお値段で提供中だ! どうだおっさん!?」 なんと頭の悪い悪徳商法だろう そして最初のミステリアスな雰囲気はいずこへ 「に、2万マルティ!?それは安い!」 ――そしてこの人も 「ぐぅ……;しかし2万か…… 手持ちでは足りんな;」 「だったら1万マルティでどうだ!?」 「一気に半額か。怪しいな貴様」 私の言葉に、男は一瞬肩を震わせた 「な、何を言うんだいお嬢ちゃん;」 「そうだぞレダ。お前の右手の災いを退けてくれようと言う親切な人に何を――」 「でしたら師匠」 私は男の手から錆びた籠手を引ったくり、空中へ投げ剣を抜いた 「あ、ぉ、お前何を――――」 「ハァァッッッ!!!!」 私が剣を垂直に下ろすと、想像していた以上に籠手は容易く斬れた
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