第一話 ミッドチルダ

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「それじゃ、手見せろ」 「はっ?」 想定外の質問に少しザックスはためらってしまう。だがそれを気にする事無く、フレッドは身を乗り出したザックスの手を取り、しげしげと観察を始めた。 手のひら、指、甲。一通りチェックし終えると、ザックスの手を離し、もう一度コーヒーをすする。 「って、おい、何だよ今の」 不可解な行動に、ザックスは焦れたようにフレッドに聞く。それに苦笑しながらもフレッドは答えた。 「もちろん、適性の確認だが」 「適性?」 「ああ、目は口ほどに物を言うように、手はそいつの親ほどその経歴を知っているのさ。武器をふるった時間。魔法を学んだ時間。それこそなんでもだ。だから俺は最初に手を見る。それだけで、知りたいことは大方わかる。まあ、俺なりの人格判断ってやつだ」 そのことにザックスは納得する。よく分かりはしないが、彼の本心であろうことは感じ取れた。 「それで、何でそんなことを?」 「まあ、つまらない、こだわりってやつさ」 「こだわり?」 「ああ。最近の魔導士って奴らは、ともすればすぐにデバイスが悪いだのなんだのと、文句ばかりつけやがる。 まあ、確かにそういうのもあるだろう。だがな、自分で自分の分もわきまえず、何新しいデバイスだの、使い易いデバイスだのをよこせとばかり。 自己鍛練はどうなった!足りない部分は自分の発想や戦い方で埋めるって言う、根本原理はどこへいった!!俺にだってプライドはある。そんな、自分で自分の限界を決めちまってる馬鹿に、自分のデバイスを売りたくはない。デバイスに文句言ってる暇があるなら、鍛練でもしてろってんだ」
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