100人が本棚に入れています
本棚に追加
「それじゃ、手見せろ」
「はっ?」
想定外の質問に少しザックスはためらってしまう。だがそれを気にする事無く、フレッドは身を乗り出したザックスの手を取り、しげしげと観察を始めた。
手のひら、指、甲。一通りチェックし終えると、ザックスの手を離し、もう一度コーヒーをすする。
「って、おい、何だよ今の」
不可解な行動に、ザックスは焦れたようにフレッドに聞く。それに苦笑しながらもフレッドは答えた。
「もちろん、適性の確認だが」
「適性?」
「ああ、目は口ほどに物を言うように、手はそいつの親ほどその経歴を知っているのさ。武器をふるった時間。魔法を学んだ時間。それこそなんでもだ。だから俺は最初に手を見る。それだけで、知りたいことは大方わかる。まあ、俺なりの人格判断ってやつだ」
そのことにザックスは納得する。よく分かりはしないが、彼の本心であろうことは感じ取れた。
「それで、何でそんなことを?」
「まあ、つまらない、こだわりってやつさ」
「こだわり?」
「ああ。最近の魔導士って奴らは、ともすればすぐにデバイスが悪いだのなんだのと、文句ばかりつけやがる。
まあ、確かにそういうのもあるだろう。だがな、自分で自分の分もわきまえず、何新しいデバイスだの、使い易いデバイスだのをよこせとばかり。
自己鍛練はどうなった!足りない部分は自分の発想や戦い方で埋めるって言う、根本原理はどこへいった!!俺にだってプライドはある。そんな、自分で自分の限界を決めちまってる馬鹿に、自分のデバイスを売りたくはない。デバイスに文句言ってる暇があるなら、鍛練でもしてろってんだ」
最初のコメントを投稿しよう!