第一話 ミッドチルダ

9/9
前へ
/11ページ
次へ
語気も荒くフレッドはそういい終えると、コーヒーを一気に飲み干す。そして、ゆっくりとザックスを見据えた。 「んで、お前は合格だ。魔法については年相応、もしくはそれ以下だが、剣に関しては、正直お前が過ごしてきた人生が見てみたいほどだ。 だから、俺はお前が望むなら、お前のためにデバイスを作る。・・・どうする、坊主?」 そこまでデバイスに魂を賭けるその姿はひどく眩しく見えた。 純粋に尊敬する。だからこそ、友になりたいと思った。故に、この時他に語るすべをザックスは持ちえなかった。 「ザックス」 「あん?」 「ザックス=フィアだ。坊主じゃない」 「そうかよ。・・・それで?」 今度はザックスの言葉にフレッドが困惑する。だがそれに構う事無く、ザックスは続けた。 「名前を教えてくれ。あんたは?あんたの名前は?」 「知ってるんじゃねーのか、お前」 「それでもだ。それでも俺はあんたから聞きたい、だから」 「わかったよ。俺はフレッド。フレッド=ソールドマン。・・・これでいいのか?」 その言葉にザックスは頷く。そして、返答代わりに、デバイスを作ってくれと頭を下げた。 「はっ。変な奴だな。おまえは」 「お互い様って奴さ」 「違いない」 二人はただ苦笑しあうだけだった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加