∫花∫

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今日は雨・・・。 あたしは窓から見える雨の景色が好き。 「どうしたの?元気ないね?」 あなたがあたしの隣に来る。 「なんでもないよ・・。」 あたしは窓に寄り掛かる。 あなたには話していない秘密があったから。 それはきっと伝えてはいけない事。 「雨,早く上がるといいね。」 あなたはあたしの頭を撫でる。 「うん・・・・。」 あたしは苦しくなって泣けて来た。 「どうしたの? よく解らないけど・・・ きっと大丈夫・・。」 あなたはそう言ってあたしを抱きしめる。 「・・・・・大好きだよ。」 あたしは不安を隠す様にあなたに呟いた・・・。 「うん,知ってる。 大好きだよ。」 あなたは優しい笑顔で言ってくれる。 それがあたしを余計に苦しめる・・。 あたしの中には今,あなたじゃない・・・・蝶々が住んでるの。 「・・・・・大好きだよ。」 次は力強くあなたはあたしを抱きしめて キスをする。 「ぅん・・・・。 ずっと・・・・一緒だよ。」 そう言ったあたしの目に部屋の片隅に飾ってある一輪の花が見えた。 その花はあたしがあなたにあげたもの。 一年中咲いている可愛い可愛い向日葵の・・・・・造花・・・。 枯れる事のない・・・・ 作り物の・・・・・花。
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