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桜の精霊
毎年私は通り過ぎる人達を見送る。
私は存在するが
存在しない
なぜなら妖精だから。
誰も私に気付かない
だから彼らを見守ってあげたり空を眺めることしかできなかった。
私がいる意味があるのだろうか…
ある年のこと
私に話しかけてくれる女の子が現れた。
その子はいつでも色んな話をしてくれた。
悲しい時
嬉しい時
親と喧嘩したとき
毎日来て
毎日話をしてくれた。
なのに
最近来てくれなくなった。
そして
つまらない日々が続く。
そして彼女はもぅ
この世にはいなくなってしまったらしい。
なぜ、いないと解る?
それは
彼女の娘が知らせに来たから…
『お母さんの思い出の場所』だからと…話してくれた。
その子には私が見えていた。
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