日独、現る。

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「ハル!部活いくぞ!」 放課後になると、教室の入り口から毎日同じ事を言われる。 「..ちょっと待ってろッ」 ハルヒの煙たそうな口調も毎度の事だ。すると奴は、またいつも同じ事を口にする。 「おせーんだよ!」 違う。お前が早いんだ。 そう言いたいが、いちいち相手にするのは面倒なので抑える。これも毎度の事だ。 奴は杉山タクヤ。 転校した時のクラスメイトで何かと余計な世話を焼いてくれる。 奴は、いちいち暑苦しい上にうるさい。一緒にいると少々疲れるときもあるが、まぁ悪い奴ではない。 そうこうしているうちに準備が出来きたハルヒはタクヤの元へ向かった。 「よし、行くぞッ」 「待たせといて偉そうなこと言うな!」 そう言ってタクヤは背中にカバンを勢い良くぶつけてくる。 ハルヒは奴をにらみ何か言おうとしたが疲れるので止めた。すると奴はそれを見て 「相変わらずノリがわりーなぁ」 と言ってくる。本当にふざけた奴だ。 「そうだハル。お前風邪気味だったよな?家に薬あったから持って来たんだ。俺に感謝しろよ!」 しかし、いいところも少なからずある。 日本に来てもう一年。 高二の夏を迎えていた。
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