序章

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レシピ1 きっかけ     高校三年の夏も過ぎて高校生活も残りすくなくなっていき 工業高校だったので進学よりも、ほとんどのヤツが就職活動をしている中 夢も、とくに大きな目標もなかったオレ、和月・17才は先のことなど深く考えず、ただただ時間を無駄に消費していた。    ある日、クラスの担任に呼び出され、職員室に向かいながら、なにか担任に呼び出されるような悪ぃことしたっけ? とあまり使うことのない脳ミソの引出しを探ってみたが、心当たりがないまま職員室にいる担任の前に辿り着く    担任が能天気なアホ面をさげて現れたオレの顔を見て、一瞬呆れた顔をし、険しい表情に変えながら言った    「和月、明日で就職願書の提出の〆切だぞ、おまえどうするんだ?」    いやー、まいったね💧    当時のおれ、なんも考えてなく、大事な〆切すら記憶してなかったよ、自分の人生どんだけ適当⁉    そのまま慌て就職相談室に駆け込み、棚に並ぶ会社の書類をあさり始め わずか数時間で人生の新たな道を、まるで安い買い物でもするかのようにいくつか決めてしまった。    さてとりあえず決めたし、さぁ帰るべ🎵 と自転車をこいでると、日が暮れて薄暗い中、灯りのついたコジャレたお店がふと目についた    「フランス菓子・モンパルナス」    ケーキ屋さんか…工業関係の仕事より華やかでおもしろそうだな✨    数ヵ月後、この安易な考えと、先のコトを考えず適当に生きてきたことを激しく後悔することになる。
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