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「おーっす!柊、ダイナ。シュークリーム買って来たから、一緒に食おーぜ」
「まーた、買って来たの、紘人!しかもご丁寧にあたしの分まで…。そこまで甘いのすきじゃないっ…てか、むしろ苦…手…なんだけど…」
どんどん柊ちゃんの声が小さくなっていきます。どんどんどんどん紘人くんによって積まれていくシュークリームタワーに圧倒されたに違いありません。
柊ちゃんは目をまんまるに見開いたまま、固まってしまいました。
わたしだって、この量には閉口してしまいます。きっと、シュークリームタワーがわたしの方へ倒れて来たら、潰れてしまいます。そうなるか、シュークリームに溺れてしまいます。
とってもとっても困ってしまいます。そのくらい、紘人くんの買って来たシュークリームは多いのです。
「だってよー、俺甘いもんだいっすきなんだって。柊だって知ってるだろー?」
「でも、あたししの分はいいって言ったじゃない。しかも、こんなに大量のシュークリームなんて…無理!」
「旨いんだぞ、ここのシュークリーム。だから、柊にも食べてもらいたかったんだよ」
柊ちゃんと紘人くんは最近、幼なじみを卒業し、晴れて恋人同士になったのですが、今までと違い紘人くんはサラッと甘い言葉を言うようになりました。
「…だ、だからと言ってこんなにたくさん買って来てどうするのよ!」
まだまだ、柊ちゃんは慣れません。いつも顔を真っ赤にします。
「しかも…!紘人がいっつもいっつも甘いものをたくさん買ってくるから………………太ったの」
今度はとても深刻な表情です。おんなのこにとって、体つきは気になるところです。しかも、最近やっと初恋が実った柊ちゃんですから、太ってしまって紘人くんに呆れられてしまうのが嫌なのでしょう。
けれども 紘人くんはそんなことを知ってか、知らずか、
「気にすんなよ。柊が太っても削げても俺が貰うって」
言っちゃいました。
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