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どうしてこんなに紘人くんが拗ねてしまったかと言いますと、昨日に逆戻ります。
それは、もう、日の光が部屋を茜色に染めて綺麗な夕方のことでした。
2人とわたしはいつものように、柊ちゃんのお部屋で思い思いに時間をすごいいたのです。
ベッドを背もたれにしながら雑誌を読んでいた紘人くんはふ と顔を上げ、柊ちゃんに尋ねます。
「なあ、柊、明日土曜だろ?暇?」
「…何にもなかったはずだけど、なに?」
出来るだけ、表情を抑えながら答えます。
実は未だに、この2人お外でのデート…というものをしていないのです。
ずっーと幼なじみ、なおかつ、ずっーと仲良しの2人でしたから、お互いに用事がない限りお休みの日はどちらかの家で過ごすことが習慣になっていたのです。
そして、それは、恋人同士になった今でも変わりません。
ですから、柊ちゃんはこの紘人くんの言葉にいたく反応してしまうのです。
もしかしてはじめて、デート…というものに誘われてるのではないか、と。
とはいっても、意地っ張りな柊ちゃんのことですから、期待に満ち溢れた表情なんて出来るはずがありません。
…けれど、
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